2004年04月01日

昭和最後の日-15(@w荒

ひろゆきは、
小さくまとまった字で自分の名前を記帳した。
彼は、少し前まで神の如く崇拝していた父が
記帳をしているのを横目でちらりと見た。
もう、どんな他人も権威としては仰がない。
自分は、個人なのだ。

彼は、一旦坂下門を振り返った後、
家族と一緒に皇居を去った。

この日から2ヶ月後、
ジュネーブの高エネルギー物理学研究所(CERN)の
コンサルタントのバーナーズ=リーは
研究者間の知識の共用を促進するために、
ハイパーテキストによる情報の相互参照という概念を案出した。
これはWWWの基本概念である。

更にこの年、米ソ冷戦の際、
核戦争によってネットワークが破壊された場合の対策として
考案された米軍のARPAnetは解体され、
民間利用が促進されることになる。
インターネットが爆発的に発達するまで、あとわずかであった。

ベルリンの壁は11月に崩壊し、
そして東京証券所株価指数は、12月に最高値を記録する。

だが、そのいずれも
いまだにひろゆきの知るところではなかった。

            -完-

   
posted by 東京kitty at 16:15| 東京 ☀| Comment(2) | 昭和最後の日(@w荒 - 2ちゃんねる最初の日 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
大変面白く読ませていただきました。
次も楽しみにしています。
Posted by 荊芥連翹湯 at 2004年04月01日 16:30
良く書けてますよ。読ませますよ。イイデス、イイデス、イイデス・ハンソンところでひろゆきってこういうの読んでも怒らないの?
Posted by フロム at 2004年05月02日 13:07
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス: [必須入力]

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。