2004年04月01日

昭和最後の日-8

乳色の曇り空の下、テニス部員が練習をしていた。
この学校は、
どちらかというと左翼系の教員が勢力を占めている。
天皇が崩御したくらいで、
クラブ活動をやめたりするなどということは
考えも及ばないことだった。

成田ひろこは、
コートの中で何人かとサーブの練習をしていた。
ひろゆきは、少し離れたところから、彼女を見つめた。
ひろゆきがひろこを気になり始めたのは、
彼女が単に可愛いからではない。
彼の冗談に笑ってくれたからだ。
ある日、
二人は日直になって教室の窓の開け閉めを担当した。
作業が終わって帰るとき、
カバンの中にノートや教科書を詰め込んでいるひろこに、
ひろゆきは
「成田の周りは何にも成田」
等という凍りつくギャグを言ったが、
どういうわけかひろこはくすっと一回笑ったかと思うと、
堰を切るように笑い出し始めた。
「ぷ・・・くくく・・・あははははは」
ひろゆきは、
彼女の笑いこけるありさまを驚きの目で見つめていた。
何か彼女の笑いのツボに嵌ったか、
それとも彼女の生理期間だったのだろう。

ひろこはひろゆきの冗談に笑ってくれた。
ひろゆきの中で、ひろこは大きな存在になっていた。

ひろゆきには、
性体験と呼ばれるものがこのときまで全く無かった。
異性を意識したことはなかったし、
大体姉と共有する部屋にいる以上、
自分だけの空間がないので、自慰もできはしなかった。
それでも、
夜寝るときにひろこの顔が心に浮かび、
胸が締め付けられるような思いをしたこともあった。

posted by 東京kitty at 15:59| 東京 ☀| Comment(0) | 昭和最後の日(@w荒 - 2ちゃんねる最初の日 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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