電車の中で奇妙な視線を感じたのはここ1ヶ月ばかりのことだった。
その視線の先には、30代くらいの女性がいた。
その女性は、2日か3日に一度彼女の近くに立ち、
彼女のことをちらちらと見ていた。
最初は何のことやらわからず当惑していた彼女は、
やがて恐怖を感じるようになった。
メッセ友達で何度か彼女と会ったこともある
2chの某有名固定(38歳, 東大卒)は相談を受け、
事態の最終的解決に乗り出すこととなった(@w荒
メッセでの会話:
「男ならわかるんだけどさ、能子は可愛いし(@w荒」
某有名固定は沈着な面持ちで、メッセハンドル名で少女のことを
指称した。
「うう・・・恐いよ。レズの人かな?」
「学校は女子校だったよね。誰かからそういう誘いを受けたことは
あるのかい?(@w荒
「え?ないよ?」
「そうか(@w荒
翌日、某有名固定は川崎駅から少女と少し離れたところからその女を
観察することとした(@w荒
だが、翌日その女は現れなかった。
結局骨折りになったわけだが、
放課後某有名固定は少女と会い、
デートした後少女を川崎駅へ送った(@w荒
その翌日も某有名固定は川崎からの電車を待って、
少女から離れたところに立った。
すると、少女が右耳に3度手を当て、
女がいることを示す合図を行った。
某有名固定は位置を変えて該当すると思われる人物を
ホームの中で探した。
いた。少女の1m後ろに立っている、身長160cmくらいの
中肉でメガネを掛けている女性だ。
電車が来た。
某有名固定は少女が並んでいるドアの方へ身を滑らせた。
確かに、その女は少女をチラチラと見ていた。
だが、自分が誰かに見られているとは丸で気付いていない
ようだった。
某有名固定は現在太陽系内で最も優れた知力を総動員して
その女を観察していた(@w荒
「ふーん(@w荒
やがて、某有名固定はその女に認められる
ある著しい事実を認識して、再び少女を見た。
「根が深そうだな(@w荒
少女は渋谷で降りた。
すると、その女も降りたが、少女の跡は追わなかった。
これも少女から聞いた通りだ。
某有名固定は、その女がどこに行くか追跡することにした(@w荒
女は、何と同じ路線の逆の方向へ向かう電車に乗った。
某有名固定は、上りとは逆にガラガラの下りの電車に
女を追って乗車した(@w荒
「どこかに行く途中で彼女に目をつけた、というわけではなく、
意図的に彼女を追っていたということだな(@w荒
やがて、電車はとある駅に止まり、女もそこで降りた。
女は、駅から5分くらい歩いたコンビニに入っていった。
バイトと挨拶をしている。
どうやらここで働いているらしい(@w荒
某有名固定は、2時間ごとにそのコンビニを
遠くから監視した。女は、確かにそのコンビニの制服を
着て業務を遂行していた。
午後4時になって、女の姿が消えた。
20分程度経過して、女が私服姿で店から出てきた。
某有名固定は更に彼女を追跡した(@w荒
女は駅の近くのスーパーで食料品などを買い込み、
店を出た。
7分程度歩いて、女は築20年程度の古びた3階建てのアパートに
到達した。
「ここがヤサだな(@w荒
某有名固定は、女が吸い込まれていった
2階のとある部屋の番号を確認し、
1階にある郵便受けを見た。
「F山か(@w荒
苗字しか書いていない(@w荒
「F山という者に知り合いはいるかね(@w荒
「えっ・・・知らないよ?」
「・・・そうか(@w荒
メッセでそれをA子から聞いた後、某有名固定は考えた。
ここで言うべきか否か。
確定的証拠が入手された後でも遅くないのではないか。
だが、やはり言うべきだと思った。
なぜならば、現在女の意図はわからないが、突然不可思議な行動に
出ている以上、少女の側で情報を集めるためには知らせておくべき
ことと考えたからだ(@w荒
「結論から言おう。あの女はF山という名で、Bにあるコンビニに勤め、
近くのアパートに住んでいる。彼女の耳、アゴ、頬骨の特徴は、
君のそれと酷似する(@w荒
特に耳はそっくりだ(@w荒
「えっ」
「DNA検査をしなければ確たることは言えないが、
外形的形質から判断して君とあの女は近親者だ(@w荒
「そんな・・・」
「親御さんに確認するかね。それとも、どうするかね(@w荒
この期に及んで、某有名固定は少女に決定権を与えた。
某有名固定の優秀な頭脳には、事態の概要がほぼ推測できていたが、
ここでそれに言及する必要はまだないと考えた。
少女にも事態の解明に努力させることによって、あり得る結果による
衝撃を希薄化する可能性もないわけではなかったからだ(@w荒
「・・・どうしよう。まだ知らせたくない」
おやおや(@w荒
少女も何らかの予感を得たのだろうか。
某有名固定は少女に問うた。
「ではもう少しヲレが調べてもいいのかね(@w荒
「・・・うん、お願い」
「君のような可愛い子に頼まれて断るバカな男はいないよ(@w荒
「ふふww
某有名固定は更に調査を進めた。
女のアパートの郵便受けからこぼれていた手紙から
女の名前を突き止め、
その手紙の送信元の住所から送信者の電話番号を調べ、
郵便局の職員を装って電話し、
宛名が水に濡れて滲んで読めないと言って
宛先の女の電話番号を聞き出した(@w荒
某有名固定は、市役所に行って書類を請求し、
それを見て小さなため息をついた。
予感が的中したことに対する、
安堵感と失望感のない交ぜとなった感情がそうさせたのだ。
その日、某有名固定は更にとある人物と会った。
「久しぶりだね(@w荒
「先輩もお元気そうで何よりです」
高速道路が蛇のようにインターチェンジで交錯し、
道を照らす灯が海の方までどこまでも続いている。
某有名固定は、
とある後輩の青年実業家が買収を試みた放送局の近くの
巨大な橋の近くに設けられている避難場所に
一旦車を留めた。
「これがお話の資料です」
「うん(@w荒
「その・・・コピーは・・・」
「ああ、わかっている。一回見れば全部覚えるよ(@w荒
某有名固定は、
車内灯をつけてから茶封筒の中の書類を取り出し、
閲覧し始めた(@w荒
翌日、某有名固定は放課後少女を伴って電車に乗り
女の住む駅で降りた。
某有名固定と少女は並んで坂を黙って歩いた。
某有名固定は、少女の堅い表情を見て声を掛ける術を持たなかった。
昨日真実の一端を明かした後、電話の向こうで少女は泣いた。
だが、未だ両親にこのことは話していないという。
少女は、秘密を持つことで大人になろうとしているかのようだった。
やがて両親も本当のことを言うときが来るかもしれない。
だが、その時は既に少女は世界の秘密を知っているのだ(@w荒
女のアパートがもうすぐだ。
だが(@w荒
突然、次の辻から女が現れた。
買い物か何かするつもりだったのだろうか。
某有名固定と少女は、その意外な出会いに驚いたが、
それよりも驚いたのは女の方だった。
女は、恐怖と驚きが無い混ぜになった表情を見せた。
そして、慌てて振り返り走り始めた。
「おかあさん!!」
少女が叫んだのとそれは同時に起きた。
女が突然あらぬ方向に走り出したすぐ後、よこの辻から
自動車が飛び出してきた。
女がいきなり飛び出してきたので、避けることもできなかったのだろう。
車は女を跳ね飛ばして、女は物理学の法則通り飛んでいき、
コンクリの壁に衝突した(@w荒
「おかあさん!!」
少女が駆け寄った。
だが、脳天から血を流す女の息は既に絶えていた(@w荒
女が、同棲していた男の暴力に耐えかねて
思わず手を出し、
男が打ち所が悪く死んでしまったのは
今から15年も前のことで、女が19歳のころの話だった。
女は裁判を受けて有罪となり、刑務所に入ったが、
妊娠を気付いたのはもう3ヶ月を過ぎてからのことだった。
結局女は獄中で子供を生んだ。
彼女は子供を育てることができず、
子供は親戚を通じて里子に出された。
女がA子のことを気付いたのは、元々は同じ電車に
乗り合わせていたからかもしれなかったし、
親戚に聞いたからかもしれなかったが、
今ではその原因はわからないし、
わかっても大して意味はないだろう(@w荒
それから、1週間が過ぎた。
結局、少女はそのことを何一つ親には言っていないようだった。
少女は、秘密を飲み込むことで大人になることを
選んだのだ(@w荒
某有名固定は、手にある紙切れを握り、
土曜日に少女と待ち合わせした。
「やあ(@w荒
少女は、悄然とした微笑みを浮かべた。
しかし、彼女はこの秘密を栄養にして、
何か大人の影を帯びたかのようだった(@w荒
「結局、言わなかったんだって?(@w荒
「うん・・・」
「いつかご両親が秘密を話したとき、どうするんだい(@w荒
「・・・えっ、うそっ!!!とか言って、せいぜい驚いて悲しむ
ふりをするわ。それが私にとって唯一できることだと思う」
秘密を持つ重さと苦しさの反面、秘密を保つ者としての優越と満足感を
享受する道を選んだわけだ(@w荒
「そうか・・・それがいいだろうね(@w荒
某有名固定は、紙切れを出した。
「何だかわかるかい(@w荒
少女は紙切れを取った。
「こ・・・航空券?」
「ああ、そうだ。沖縄行きのね(@w荒
「これは・・・何なの?」
「ヲレはね、君に言ってなかったことがあるんだ(@w荒
「・・・何?」
少女は某有名固定を見た。
「英語の場合と違って、日本語は複数形に関して極めてルーズなんだが、
そう思わないかね(@w荒
「え?」
「はっきり言おう。君は一人で生まれてきたわけではない(@w荒
「うそ!双子のきょうだいがいるの?」
「違うな(@w荒
「え?」
「3つ子なんだよ、君は(@wぷ
「君の・・・姉だか妹だかどちらかわからないが、ともかくきょうだいは
北海道と沖縄にいる(@w荒
「遠いね・・・」
「そうだ(@w荒
だから、明日は朝一番の飛行機で2人で沖縄に行こう。
幸い、住んでいる場所はわかっているんだ。
来週に北海道に行けばいい(@w荒
少女の閉ざされてしまった過去が、勢いよく開き始めた。
「うん!!」
少女は、笑いながら泣き、泣きながら笑った。
某有名固定は少女の唇を自分の唇で覆った(@w荒
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これはフィクションです(@w荒
東京kittyさんの現実の話だと思い
最後の最後まで真剣に読んでたのにww
ふっざけった文章書きやがって、と思ったものの
最後のこの一文だけはかわいいと思ってしまった・・・。
不覚。
まで読んだ
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